東京駅/ dom Pierre TOKYO EXPRESS CURRY (きむかつカレー)

ドン・ピエールといえば京橋にあった洋食レストランであり、サラリーマン時代には比較的気軽な夜の会食で幾度か使わせていただいた店である。
クリームコロッケも良かったし、ビーフオムライスも美味であった。
今では銀座1丁目に移転されていて、時々その前を通り過ぎるだけで入店には至っていない。
そのドン・ピエールが経営するカレー専門店が東京駅のキッチンストリートにあることは予ねてより知っていたが、先日大阪に行く途中で立ち寄る機会を得た。

席を予約した新幹線に乗るまでに1時間ほど時間的余裕のある11時半頃に入店したが、店内は既に8割ほどが先客で占められていた。
案内された長テーブルの席に着いて、メニュに目を通した。
真っ先に考えたのはドン・ピエールの開業当初からその名を馳せたビーフカレーのDNAを受け継ぐと思えた「特製ビーフカレー」であった。
が、メニュを眺めている内にカツを合わせるのもが良いと思い、ウェイタさんに尋ねると「きむかつカレー」もお薦めであるということであった。
ということで「きむかつカレー」をいただくことにしたのであった。
早速注文をすると、カツを揚げるのに7分程時間をいただきます、とのことであった。
当方としては、時間には余裕があるので、キャンセルして他のカレーを選び直す必要はないので、これでお願いしたのであった。

注文を終えて、5分程経った頃合いであろうか、「きむかつカレー」が供された。
昼食時の時間帯であることから、調理の段取り的にカツは順次揚げておられるようで、7分を要しないで供されたのであった。
このあたりは注文を受けてから調理に取りかかるという本家のドン・ピエールとは一線を画するように思えたが、場所的に考えるとそういうものであると納得するのが穏当なところである。
供された「きむかつカレー」と対面した後、先ずはルーを一匙味わった。
スパイスが程良く効いたルーであったが、それ以上に上質かつ滑らかな味わいのルーであった。
私が日頃いただいているカレーのルーの多くは一つの鍋でしっかり調理されたものが多く、如何に丁寧に調理がなされていてもそれ相応の味がするものである。
一方、当店のカレーのルーは素材の調理に加えて、別に調理されたスープストックが使われているようで、味わいに上質な深さが感じられた。
今になって思えば、このルーだけでご飯をいただくというのが最も美味しい食べ方であるかもしれない。
現に、きむかつの存在はこのカレーのルーの前では左程大きくはなかったのであった。

なお、テーブル上には「干し葡萄、福神漬、ラッキョウ」が置かれていた。
が、これらも当店のカレーのルーには余りそぐわないように思えた。
そういえば、虎ノ門にあった「赤トンボ」や皇居に近い「パレスホテル」では、カレーの薬味が数種類用意されていたことを思い出した。
それらの中で、フライドオニオンチップスは理由は定かではないが好印象の一品として記憶に残っている。
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