西船橋/ てる美 (居酒屋)
てる美
一週間ほど前であったが、朋友のHO氏と船橋の「中華料理 大輦」で「ソースらーめんハムカツのせ」という巷ではなかなか稀有なラーメンを昼食とし、その後「SHIRASE 5002 & 新・黒ラベル コラボレーションツアー」に参加したのであった。
そして、最後は西船橋の居酒屋「てる美」で一献ということになった。
「てる美」に到着したのは夏至の日の午後6時に5分ほどという時間で、辺りはまだ昼の明るさが強く残っている夕方であった。
引戸を開けたHO氏に続いて店内に足を踏み入れると、左手奥の小上がりでは先客達が既に宴もたけなわであった。
私達は二人客であったためか女将さんにカウンター席を促され、もろに女将さんの前の席に着いたのであった。 焼酎のオンザロック
先ずは飲み物をということであったが、HO氏も私もほんの1時間ほど前にサッポロビール千葉工場の試飲で黒ラベルをいただいていたことから、「とりあえず一杯のビール」をスキップし、HO氏は焼酎のオンザロックを、私は熱燗を所望したのであった。
先ずはHO氏の焼酎オンザロックが供された。
程良い大きさのロックグラスにはブロックの氷が入れられ、そこに焼酎が注がれた涼やかな趣の一杯であった。 熱燗
一方、私の熱燗はちろりで暖めた清酒が枡に置かれたグラスに注ぎこまれたもので、ほんの少しであったがグラスから溢れた清酒が枡にこぼれおちたのであった。
なお、この日は熱燗を三杯いただいたが、2杯目以降は清酒が枡にこぼれおちることはなかった。 お通し
「お通し」は玉蒟蒻、一口サイズのさつま揚げ、小松菜の茹でたの、が供された。
味は出汁が薄味に仕上げてあって、具材個々の味が活かされたものであって、料理を一手に引き受けておられる親爺さんの腕がかなりのものであることが分かるものであった。 赤貝の紐(HO氏のカメラの赤目低減ライトが当たってしまった)
「お通し」で一杯飲りながら、壁に並んだ数多の短冊の中から、「赤貝の紐」、「鰈の煮付」、「ホンビノス貝の酒蒸」を所望した。
最初に現れたのは「赤貝の紐」であった。
その口当たりは程良いコリコリ感があり、味は新鮮な赤貝に特徴的なヘモグロビンとタウリンのアクセントが旨味となって広がったのであった。
親爺さんの赤貝に対する目利きの結果であろう。 鰈の煮付
次いで供されたのが「鰈の煮付」で立派な真子が入っていた。
鰈の身は薄口の出汁で軽く煮つけられたことから、新鮮な鰈の身にのみ宿る甘味と旨味、そして淡い蘞味がバランス良く広がったのであった。
関東地方の店では魚の煮付は濃い醤油で煮付られることが多く、往々にして折角の身の旨味がマスキングされてしまうという悲惨な事態を目にすることがあるが、当店の親爺さんの料理には素材を活かすということに細心の配慮がなされているということが明明白白となる一品であった。 ホンビノス貝の酒蒸
「鰈の煮付」を食べ進めていると、頃合いを見計らったように「ホンビノス貝の酒蒸」が供された。
ホンビノス貝というのはまだポピュラな食材ではなく、一般の市場では目にすることがない。
しかしながら、千葉の三番瀬ではホンビノス貝が獲れることから当店でもいただくことができるのである。
そのことは当店を3年前に訪ねた際に知った訳であり、この日もホンビノス貝の料理を期待していたのであった。
米国で勤務していた時はアペタイザーとして「リトルネック」あるいは「チェリーストーン」と称される所謂ホンビノス貝の稚貝をレモン汁やクテルソースで食していた。
流石にこの大きさのホンビノス貝を生で口に頬張るのはいささか躊躇するところであるが、酒蒸にされたものは「蛤」とまでは言わないが、佳い味わいであり、佳いお出汁が出ているのであった。
HO氏も焼酎のオンザロックをお替りし、私も熱燗を飲み続けた結果、更に「鰻巻」と「揚げだし茄子」を追加することとした。 鰻巻
「鰻巻」はその価格にしては玉子で巻かれている鰻の蒲焼が上質であった。
玉子も美味であった。
次回に当店を訪れることがあるならば、前述の三品と共に「鰻巻」は必注すべき一品であると思料するところである。 揚げだし茄子
「揚げだし茄子」も茄子の揚げ方・火の通し方が良く、またお出汁も素材の味を活かすべく仕上げられていて、佳い味わいであった。
支払いを終えて店を出る時には親爺さんに心をこめて挨拶をしたのであったが、当店は寡黙な親爺さんの素材に対する目利き力と素材を活かす卓越した腕によって成り立っているといっても過言ではないと考えている。 暮れ始めた街のてる美
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