両国/ 割烹 吉葉 (ちゃんこ 吉葉鍋)
割烹 吉葉
今日は二日酔いでぐったりしている。
ブログの更新もこれで途切れるかと思ったものの、夕方からポチポチとキーボードをたたき始めることにした。
昨日は学生時代からの友人であり、かつ酒豪のTI氏が東京に現れた。
TI氏は日曜日に開催された長野マラソンに出場し、その帰途にわざわざ東京に立ち寄ってくれたのであった。
思い返してみると、TI氏はかなりの頻度で東京に現れているような印象であったが、昨日は今年になって初めての東京であった。
さて、TI氏と会うとなるとこれはもう会食が中心となる。
今回TI氏が宿泊することになった場所はJR馬喰町駅に近いホテルということであった。
この情報をベースに何処で飲むかを考えたら、神田、日本橋、あるいは人形町などが浮かんだのであったが、地図を広げてみると両国が存外に近いことが分かったのであった。
そこで、今回は両国で「ちゃんこ」をいただくことにしたのであった。 JR両国駅
先ずはTI氏とJR両国駅に16時の待ち合わせとした。
が、私の移動が何時に無くスムーズであったことから15時35分頃には両国駅に着いてしまったのでTI氏に電話した。
すると、なんと都合の良いことにTI氏は両国を散策しているとのことで、電話の後5分ほどで現れたのであった。 両国の通りには力士
TI氏と久しぶりに再会の挨拶を交わした後、「ちゃんこ」を提案したらOKとのことで、店に土俵が設えられている「割烹 吉葉」に電話して予約を入れたのであった。
「割烹 吉葉」の夜の営業は17時からということで、それまでの1時間ほどを隅田川淵、相撲博物館、旧安田庭園を巡って時間調整した。
旧安田庭園を出る頃から雨が降り始めたので、遠回りしながらも取り敢えず「割烹 吉葉」の辺りにまで行ったが、それでも未だ10分ほど早いタイミングであった。 割烹 吉葉
ということで、再び雨の降る中をふらりと歩いて更に時間を潰して後、支度中という札が入口に架かってはいたが、え~いままよっ、と思いつつ「割烹 吉葉」の引戸を開けたのであった。
それにしても、こういう状況では時間の経つのがどうにもこうにも遅いものであるということを久しぶりに実感した次第であった。 玄関
玄関では仲居さんが出向かえてくれ、靴を脱いで玄関から帳場の横を通って店内に歩を進めたのであったが、もう少し綺麗な靴を履いてくれば良かったと思ったものの後の祭りであった。 雪駄(大きいのは力士サイズか?)
店内を進むと中央に土俵があり、一旦ここで雪駄を履いて土俵の上を歩いて赤房下の位置にある小上がりの席に案内されたのであった。
席は掘りごたつ式というか、テーブル席というか、いずれにしても足は折り曲げないでよいものであった。 土俵の周りにテーブル
案内された席からは、土俵が良く見えた。
なお、土俵横の席は4つあるが、土俵の天井から下げられる房の色に応じてそれぞれが赤・白・黒・青と色分けされているのであった。 土俵の神様
なお、土俵の上を歩いて感じたのは、硬く固められた土であった。
店のパンフレットによると、国技館の土俵と同様のものだそうである。 大天井の梁
また、目を上に遣ると、大きな天井には太い梁が渡されており、建物の構造的にも興味あるものであった。 てっぽう柱
また、私達が案内された席の傍には「てっぽう柱」があり、直ぐ近くで見たり触れたりできるのであった。 テーブルセッティング
着席してテーブルの上をみると、カラフルな割箸袋の上に折り曲げて作る箸置きがあった。 コースター
また、コースターには土俵の解説がしてあり、あの手この手で楽しませてくれる工夫がしてあったので、所謂外人接待に使えると思ったのであったが・・・。
とはいえ、既に一線を退いた身としては、海外からの友人を連れてくるのにはもってこいの店であるなどと思った次第であった。 熱燗に和み水
さて、先ずは飲み物であるが、TI氏は例によって例のごとく、「エビスの生ビール」を、私は「熱燗」を注文した。
すると、仲居さんが
「なごみみずです。」
と言って氷の入った水のグラスを置いていってくれた。
「ふ~む、和み水、とは良いネーミングじゃのう。」
などと思ったのであったが、結局「熱燗」を五合(実質三合五杓程度かも)をいただくだけで和み水は殆ど飲まなかった。 お通しは蕗の煮ものにトビコ
熱燗を飲りながらお通しを口に運んだ。
酒豪の誉れ高いTI氏は
「お通しだけでビール3杯はいける。」
などと凄いことを言うのを聴きながら猪口を重ねたのであった。
料理の注文はちゃんこ鍋だけで十分であると思っていたが、お品書を見ている内に「馬刺」と「さつま揚げ」もいただくことでTI氏と意見の一致をみたので、これらをまずいただくことにした。
また、ちゃんこ鍋は当店の名前が冠せられた「吉葉鍋」を選択した。 馬刺
最初に「馬刺」が運んでこられた。
薬味として卸し生姜、卸し大蒜、刻みネギが添えられており、合せる野菜としてオニオンスライス、千切り大根などが盛られていた。
健康体を誇るTI氏は野菜もきっちり食べていたが、私は卸し大蒜と刻みネギだけで馬刺をいただいた。
当店の「馬刺」は大変良い部位の肉のようで、私の様な日頃食べ付けない者にとっても淡い赤身の味と滑らかに舌の上でとろける脂の旨味からこの肉が良質のものあることが如実に分かる逸品であった。 さつま揚げ
次いで供された「さつま揚げ」は海苔が合せられたものと、紫蘇の葉と何か蛋白質系のペーストが合せられたものの二種類という構成であった。
ベースとなるさつま揚げはフワフワとした実に心地よい食感のもので、咀嚼を繰り返すことによって白身魚の旨味と甘味が口腔内に広がるという、これまた逸品であった。
ちゃんこ鍋を注文せずに、これら二品と熱燗二合、それにご飯をいただけるなら週に3回通っても良いのであるが、流石にそういうことは店が許してはくれないであろう。 錫製(?)の鍋
馬刺とさつま揚げを食べ終わるタイミングで、「ちゃんこ 吉葉鍋」がカセットコンロと共に運んでこられた。
仲居さんが
「蓋を持ち上げてご覧になりますか?」
と問うので先ずTI氏が次いで私が蓋を持つと、それはたいそう重たいものであった。
錫製の特注鍋のようであったが、鈴という金属の熱の通りと蓋の重さで良いちゃんこ鍋ができるという期待が高まる鍋であった。
ここで、全くの余談ではあるが、大阪は道頓堀にある関東煮(関東ではおでんという)の老舗「たこ梅」では熱燗は錫の徳利と錫の猪口で供される。
実に良い酒であったが、東京にいては味わうことができないでいる。
私の父も当店を良く訪れていたようで、時々話を聞かせてくれたことを思い出す。
また、マレーシアは錫製品が特産品でしかるべき店で購うと結構高価であることを思い出したのである。
錫とはそういう金属なのである。 お品書より
なお、スープは4種類あるが、仲居さんに尋ねると「あっさりしょうゆ仕立て」がお薦めだそうで、これを選ばせていただいた。 ちゃんこ 吉葉鍋(煮る前)
ちゃんこ 吉葉鍋(煮上がったところ)
さて、「ちゃんこ 吉葉鍋」には17種類の食材が入れられているということで、それぞれの食材から出た旨味がスープと渾然一体となって食材を煮ている状態であった。
特に「めかじきのつみれ」は当店のスぺシャリテとのことであり、口に含むと想像していた以上に柔和な食感で、また想像とは異なる旨味が広がる逸品であった。
それにしても、食材がそれぞれが固有の味を保ちつつスープによってその個性がより活かされる当店の「ちゃんこ 吉葉鍋」は実に満足度の高いものであった。
なお、最後に「うどん」と「餅」を一人前づつお願いして〆とさせていただいたが、肉・魚介・野菜から出たエキスの旨味がデンプンの甘味と合体することによってたまらん美味さとなっていた。 割烹 吉葉
満ち足りた気持ちで「割烹 吉葉」を出ると、さらに強い雨が降り続いていた。
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