銀座/鳩居堂(ポチ袋)
鳩居堂のポチ袋(しっかりした和紙でできています)
先日銀座の風景について話をさせていただいた際に「鳩居堂」の外壁にある飾りについて触れました。
それに対するコメントを拝読し、そんなにポピュラーではないと思っていた「鳩居堂」が想像以上に身近であったことを認識した次第でした。
私個人としては、毎年海外の友人に送るクリスマスカードを「鳩居堂」か「伊東屋」で購入してきましたが、近年は「鳩居堂」のカードが続いています。
「伊東屋」のクリスマスカードは、種類が豊富でデザインも良く、選ぶのに苦労するほどです。
一方、「鳩居堂」も品揃えが豊富ではありますが、日本の文化や風物、景色を題材にしたものが主体です。
「鳩居堂」のクリスマスカードを選択している訳は、外国の友人にはこういった「和」のカードが好まれるのではないかと思っているからです。
アメリカやヨーロッパのように、送られてきたクリスマスカードをクリスマスツリーの置いてある部屋に飾ったりする習慣のある人達には、日本のカードはちょっとしたアクセントになると思っています。
さて、今日はクリスマスカードの話題ではなくて、「鳩居堂」では和装の大物から小物まで手に入れることができるということを書こうとしています。
大物とは言いましてもそんなに大きいものではなくて、例えば「折り畳み可能なステッキ」が挙げられます。
また、「矢立」も購入することができます。
私が今回ご紹介させていただきたいのは「ポチ袋」です。
最近ではめったに使うことは無くなりましたが、料亭における接待などでこちらがホストの時に仲居さんに重要なゲストへの配慮などをお願いする際に、小額ですがこれに入れてそっと渡すと結構効果がありました。
そういえば、もう20年以上も前の米国勤務時代の話になりますが、ナッシュヴィル近郊にある日系自動車メーカーの幹部を当社のYA氏と京都の料亭で接待したことがありました。
その時は未だ30代の若造でした私には、料亭での作法など知る由もなく、「ポチ袋」の用意など全くありませんでした。
その料亭に到着して、まずお茶室のような小部屋に案内され、ここで料理をいただくのかと思っていました。
上質のお茶(と明らかにわかる)をいただきながらでしたが、このあたりで、京都の料亭に縁のないYA氏も私も困惑しつつもそれを表情に出さないようにし始めていました。
暫らくすると、部屋の用意が整ったというので、お茶室を出たらもう一度車に乗ってくれといわれ、料亭差し回しの車というより「料亭所有の車」に乗せらて僅か100mほどを進み、そこで再び中に案内されたのでした。
この時、運転手のおっちゃんに「心付けを渡すべし」という判断ができたのは、若干は米国でのチップ制度に慣れていたからでしょうか。
問題は渡す金額です。
車の中の僅か1分ほどしかない中で、無い知恵を絞り「千円」札の新券を畳んでそっと手渡したのでした。(この頃は五百円札は流通していなかったのです。)
運転手のおっちゃんは「いえいえ、こんなんしてもうたらあきまへん。」と形通りの作法で返してくれ、こちらも形通りの作法で「まあ、そう言いはらんととっといてください。」と返し、結局おっちゃんは受け取ってくれたのでした。
その後、メインの部屋に案内されましたが、先付けが運ばれてくる少し前に料亭の女将が挨拶に現れ、お酒の注文を受けた後暫らくよもやま話をして、お酒が届くとゲストからお酌をしてから「ごゆっくりすごしておくれやす。」というような言葉を残して、部屋を出て行きはったのでした。
お酌を受けながら、手が震えないよう祈ったのでしたが、祈りが通じてさらりと受けることができたのを今でも覚えています。
担当の仲居さんには、会食が終わってから心付けを渡したが、新券ではあったもののお札をそのままで、今から思えば無粋なことです。また、仲居さんへの心付けは会食が始まる前である方が良かったというか作法であることを後に知った次第で、時すでに遅し、でした。
京都で会食する時は、予期せぬサービスに備えて心付けを用意しておくことが肝心で、ポチ袋は役に立つ小道具でございます。
そして、「鳩居堂」のポチ袋は価格も手ごろで素材も佳いものですから、ジャッカルは愛用しておりますのです。
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