上野/天寿ゞ(特製天丼)
天寿ゞ
上野広小路から湯島にかけて、天ぷら、豚カツ、鰻、などの名店が数多くある。
湯島での所用が11時半に終わり、その足で天ぷらの名店である「天寿ゞ」に向かった。
行ってみて気付いたが、「天寿ゞ」は豚カツの「武蔵野」の向かいにあった。
先客に年配の二人連れが居られて、ビールを飲んでおられた。
カウンター席
店内は、入口左側にテーブル席と座敷、右側にカウンター席(10席)がある。
フロアのうら若き女性が「どこに座っても佳い」とのたまうので、何となく座ったのが揚げ鍋の真ん前(右から5番目)であった。
カウンター席5番目からの眺め
店主であろう、恰幅の佳い男性が一人居られて、先客がビールを飲み終わるタイミングに合わせたのか、漸く揚げはじめた。
「天寿ゞ」では今日初めての天ぷらであり、店主は油の温度を目で確かめつつ、衣の配合を調整し始めた。
まず、ボウルに水(?)を合わせた溶き卵を注ぎ、これに小麦粉を慎重に入れ、太い揚げ用の箸で柔らかく混ぜ始めた(撹拌ではない)。
混ぜては小麦粉を少し入れ、そして軽く混ぜと、この作業を数回繰り返していた。
見ていてもデリケートな作業であることが良く分かった。
次いで、揚げ箸の先に着けた衣液を油に落とし、油の温度と衣液の粘り気の具合を確かめている。
更に、小麦粉を少量ずつ入れて具合を確かめ、揚げ箸の先から油に落として、確認作業が終わった。
まず「めごち」であるが、両側に小麦粉を打ち、これを衣液に漬けて油に入れる。
次いで、「茄子」はそのまま衣液に漬けて油へ、「鱚」は身の内側(皮の無い側)に小麦粉を付けて油へ、「海老」は胴を指で巧みに引っ張って筋切を行った後、小麦粉を打って衣液に漬けて油へ、「しし唐」は見ていなかった、と流れるように油に入れられた。
最後に、エビとイカの「かき揚げ」が揚げられた。
揚げ上がった天ぷらはバットにて油切が行われた後、奥の厨房に運ばれ、暫くして、フロアの若い女性によって運んでこられた。
特製天丼
ここの天丼は、まず天ぷら油がさらりとしていて、素材の味もはっきり分かるし、素材自体の香りも明確に感じられた。
素材を吟味しているという自信がなければ、この油は使えないであろうし、この油を使うからには素材が良くなければ客にはすぐ分かってしまう。
まず、海老からいただいた。
素材の良さを実証するかのように、「海老」は身が佳い弾力を持っており、素材の甘味も良い海老のものであった。
「鱚」もその白身がふっくらと揚げられていて、噛むと出てくる蒸気には鱚の香りが含まれていた。
「めごち」も然りで、その独特の香りが濃厚に鼻腔をくすぐったのであった。
また、「かき揚げ」は、海老も烏賊もベストの歯触りかつ味であった。
一方、丼つゆは淡い色合いで、味にくどさがない。
私の生まれ育った大阪のものに近かったが、かといって大阪ほどは甘味は強くはない。
色は関西、味は関東、というところであろうか?
お椀は赤味噌の味噌汁で、海老の頭が入れられており、そのコクもにじみでていた。
香の物は茄子、胡瓜、キャベツで、お口直しに丁度良い組み合わせであった。
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