行徳/PRIVATE CHEF'S STUDIO 山岡(中華料理)
PRIVATE CHEF'S STUDIO 山岡
均ちゃんとは、もう43年の付き合いになるであろうか・・・?
均ちゃんは行徳に在住して30年の住人であるが、お膝元に中華料理の超佳店があると言う。
その均ちゃんに誘われて、2月14日(金)の夕方に「PRIVATE CHEF'S STUDIO 山岡」に伺った。
19時に入店したが、エントランスでマダムが笑顔で迎えて下さった。
我々は、奥のコーナー側にあるテーブルに案内された。
テーブルは4人がけが3卓で、一晩にもてなされるお客は最大12人ほどとなっており、シェフでありご主人である山岡氏(名刺には「主宰・料理人」と書かれている)の目が十分に行き届くようになっている。
お品書
この日は、「春惜月の宴」と銘打たれたコース料理であった。
着席してほどなく、前菜である「特選冷菜の盛合せ」が供された。
また、食前酒として昨秋収穫されたぶどうで醸された白ワインがグラスで供された。
銘柄は聞かなかったが、さっぱりとした味わいで口蓋を潤してくれて、これに続く前菜の味と風味を味わうべく口蓋と舌に準備させてくれるもので、今日の前菜を知り尽くした人が経験に裏打ちされた選択眼で選ばれたものであろう。
前菜「特選冷菜の盛合せ」は6種類の素材で構成されており、個々の詳細についてはマダムから説明を受けたのであったが、近年の老化のせいか良くは憶えることができなかったのが残念である。
ただ、朧気ではあるが、左向こうから時計回りに「まこも茸に2種類のソースを和えたもの(肝心のソース名を憶えていない)」、「海老の老酒漬」、「鶏肉の??}、「シェフが台湾で購入されたカラスミをリンゴで挟んだもの」、「??野菜の軸の中心部分」、「焼豚の??ソース添え」であった。
前菜
前菜が供されたところで、均ちゃんと協議して最初から「紹興酒」をいただくことにして、マダムに相談したら、お薦めの銘柄を数種類テイスティングさせて下さった。
その結果、香のバラエティが豊富で、グラスから少し離れた位置と、グラスに近い位置で芳香の軽快さと重厚さが微妙に異なるが佳くバランスしていて、更には口に含んでみると熟成された銘柄に特徴的な「とろみ」が舌の上を優しくなでて行く「孔乙巳 20年」の瓶を選択したのであった。孔乙巳 20年
前菜に続いて、「蟹の卵入りふかひれのスープ」が供された。
名前から「ふかひれ」がクローズアップされるかもしれないが、この料理は「蟹の卵スープ」にこそ重き価値を感じた次第である。
スープ自体はコクがあり蟹卵の素材からくるそこはかとない風味が十分に感じられたが、決して濃厚な仕上がりではなくて、素材が活かされた逸品であった。
蟹の卵入りふかひれのスープ
スープの次は、「車海老と春雨の煮込み土鍋仕立て」であった。
殻付きの車海老の身は歯触りが良く、殻は残したが身と殻を咀嚼することによって車海老の味を詳細に感じることができた。これも素材が活かされたものであった。
車海老と春雨の煮込み土鍋仕立て
海鮮に続いて、スペアリブ登場した。
鼻孔から入ってくる黒酢の香りが心地よく、その酸味も舌の根元を適度に収斂させてくる。
肉は佳く火が通されていて、骨から造作なく外れる。マダムは手を使ってもかまわないとのたまうが、手を使う必要もない仕上がりである。
下に敷かれたレタスあるいは巻き湯葉を肉と一緒にいただくと、黒酢ソースを纏った肉の味が淡白なレタスあるいは湯葉と調和する。
スペアリブの黒酢煮込み
「百合根の翡翠ソース」は、百合根を一旦ほぐして土を落としてから再び原型に纏め上げたものを茶巾包にして蒸し上げたそうである。この手間を入れることで熱の通りが均一になり、また味も落ち着くのであろう。
翡翠ソースは、銀杏の実を低温の油で処理することによって薄皮を剥きやすくしているとのことであった。
また、銀杏の実を見せていただいたが、我々が目にするものよりはかなり大ぶりのもので、色つやも良いものであった。素材の選択にはかなりこだわっておられるのであろうことが良くわかる。
銀杏スープの中の百合根を崩すと、手にモチモチとした感触が伝わってくる。柔らかすぎず硬すぎず、百合根の一片一片が適度にくっつきながらもその形を維持したまま分かれてくる。これを口に含むとその触感が嬉しくなる。
なお、スープの銀杏の実はフードプロセッサーでの処理で均一にしてあるのではなく、手作業で摺りつぶしてある、とのことであった。
すなわち、スープには実の細かい粒が残ることによる口当たりを演出するというものであった。
百合根の翡翠ソース
最後にこちらのお店のスぺシャリテである「わあわあ菜の漢方スープ」が供された。
「わあわあ菜」と言うのは小ぶりの白菜であって、成長しても直径は大人の拳程度のようである。
このわあわあ菜の葉の間に金華ハムをはじめとする肉材やシイタケなどが挟みこまれている。スープはコラーゲンスープで、マダムが仰るように唇のあたりに粘着感が感じられた。
味付けは塩のみで、わあわあ菜からの甘味とその他の具材から出るエキスで仕上がっていることが良く分かる。
この料理は3時間蒸して仕上げるそうであるが、予約していればこそ食べれる逸品である。
なお、ご主人が料理の鉄人に出演されて勝利された際に、この料理を供されたとのことであるが、持ち時間は1時間しかないので仕上がりは満足のいくものではなかったそうである。
わあわあ菜の漢方スープ
デザートはマンゴープリンで、中国茶とともにいただいた。
中国茶は、それまでいただいた料理からデザートへ切り替わっていく上で、口中をニュートライズする役割を果たしていたが、食事とは関係なしにいただいても美味しいと思う。
良くは分かっていないので間違っているかもしれないが、予め器の中で固められた杏仁豆腐(?)の上にマンゴーソースがふんだんにかけられている。
完熟マンゴーが手に入らなかったので、100%マンゴーのジュースを用いられてそうであるが、美味しかった。
特製マンゴープリン
2時間強に亘っての食事であったが、あっという間に時間が過ぎていった。
店を出る時には、ご主人とマダムがエントランスまで見送って下さったが、マダムは更に門口まで来て下さった。
均ちゃんとは駅で別れたが、三田の「Cotes D’OR」といい、行徳の「PRIVATE CHEF'S STUDIO 山岡」といい、均ちゃんが好む店は佳い店である。
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