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2015年10月 7日 (水)

湯島/ つる瀬 (本わらび餅)

1dsc00210 つる瀬

先日、上野動物園から湯島へ足を延ばして四川担担麺を食べた後、同じ湯島にある和菓子の名店である「つる瀬」に立ち寄った。

1dsc00208 つる瀬

「つる瀬」の創業は昭和5年(1930年)ということで、湯島界隈のみならず東京に住む人の多くに知られている名店の一つである。

「つる瀬」では和菓子の販売が行われているが、店の右手奥には喫茶スペースがあって、ここで和菓子とお茶をゆったりと味わうことができるのである。

1dsc00196 お茶は熱過ぎず程良い加減で供された

入店したのは午後2時過ぎで、雨がひとしきり強く降っている昼下がりのことであった。
まだ、3時には早く、また強い雨のために湯島天神様を訪れる人達の足も遠のいていたのか、店内に先客は居られなかった。

傘を傘立てに立てて、店内が良く見える入口右横のテーブルに着いた。
若い女性の店員さんがお茶を運んで来て
「お決まりになったお知らせください。」
と若者らしい明るい声で言って奥に下がった後は、店内は全くの静寂に包まれてしまったのであった。
外は雨であり、通り過ぎる人の影が右手の大窓をかすめる以外は店内には動くものもなく、雨の余韻を帯びた時間だけがゆるりと流れていくのであった。

1dsc00195 壁にはつる瀬の凧

1dsc00197 中央の三角テーブルは昔から置かれている

お品書を眺めながらお茶を啜っていると、そこには「わらび餅」が密やかに書かれていた。
その直ぐ上に書かれている「くずきり」も捨て難く、1分ほど逡巡したのであったが、「わらび餅」が何故か無性に欲しくなり、厨房に下がっていた先の若い女性店員さんに声をかけて「わらび餅」を注文した。
すると、彼女は僅かに息を止めた後、
「お品書には載っていませんが、わらびを沢山入れた本わらび餅もあります。いかがでしょうか?」
と尋ねてきた。

私は「つる瀬」が供する「本わらび餅」という「本」と「わらびをたくさん入れた」という言葉によって興味が強く励起されたことから、この「本わらび餅」をいただくことにしたのであった。

ここで、言わなくてもよかったのにと後で思ったのであったが、
「値段はそんなに高くはならないですよね。」
という言葉を口にしてしまっていたのであった。
彼女からは返事は無く、そのまま厨房に消えていったのであった。

そして、5分ほどしてから再び彼女が現れ、お盆に載せた「本わらび餅」を私の前に置いて、
「そのままでもお味わいください。どうぞ、ごゆっくり。」
と言って厨房に下がっていったのであった。

1dsc00201 本わらび餅

1dsc00203 本わらび餅はお椀に入れられて供される

目の前に置かれた「本わらび餅」は、お椀の中に張られた氷水に漬されていた。
お椀の横には、きな粉と黒蜜の小皿が置かれていて、これらに適宜わらび餅に付けていただくようであった。

まず、若い女性店員さんのお薦め(彼女は店主から言われた通りに行動しているのであろう)に従って、先ず一つ目は何も付けずにストレートでいただいた。
「本わらび餅」を割箸で氷水から引き上げると、割箸の先には直径5cm、厚さ5mm程の淡い褐色を呈したプルンプルンのゼリー状のものが挟まっていた。
一般に「本物のわらび粉」は「10kgのわらびの根から70gほどしか採れない」ず、またここから作られた本来のわらび粉だけのわらび餅は茶色を呈しているそうである。(出典:ウィキペディア)
この本物のわらび餅を口に運んで、しばし舌の上に留め、次いで咀嚼を行った。
非常に滑らかな口当たりが感じられ、淡い、実に淡い香りがしたような印象であった。

二つ目から最後の五つ目までは、きな粉と黒蜜を付けていただいた。
折角の「本わらび餅」であったが、やはりきな粉と黒蜜を組み合わせた方が美味であると思ったのであったが、同時に自分は俗人であるとも思ったのであった。


1dsc00206

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コメント

谷根千の教科書代わりにかつて繙いた、小川糸氏の『喋々喃々』の中にも出てくる名店ですね。

上質の国産わらび粉は年間200キロしか取れない、超希少品らしいですが、ひょっとしてお値段
のほうも・・・?(すみません、下種の勘繰りでございますな。)蕨というと、春先にいただく山菜の味
を思い出しますが、同じ植物からこのような食べものを作れるとは、不思議な気がいたしますね。
雨の湯島で一人静かに召し上がられたわらび餅、店内に飾られた薄や竜胆と引き立てあう、秋の
うつくしい一コマですな。

Kabochanさん
当店のことは本を介して既にご存じなのですね。
本わらび餅の値段ですか?う~む、それは・・・。常識的な範囲内の価格ですが、わらび粉の話を知ってしまうと、もっと高額でも良いような気分ではあります。
仰るように不思議な食べ物ですね。
そういえば、愛玉子もい不思議なたべものでした。
上野界隈にはまだまだ不思議な食べ物があるかもしれませんです。

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